ネーミングの仕事を長く続けていると、時には大事なクライアント様から「孫が生まれるので名前を考えてもらえないか」、と相談されることもあります。
もちろん、丁重にお断りしますが・・・
企業名やブランド名というのは、そのものが何であるのか、何が優れているのかを、
言葉やイメージによって、消費者に発信していく、という使命を担うものです。
さらには、「商標権」という法律上の制約も大きく立ちはだかってきます。
しかし、子供の名前には、そうした制約は一切なく、親の夢や願望を、自由に託すことができるのですから、その立場にあるご親族の方が「こういう子供に育ってほしい」という思いを込めて名付けるのが一番なのです。
という私にも、子供が二人いるのですが、名前をつけるにあたっては夫側の両親の意向が強く、
立場の弱い嫁としては、それに従うしかありませんでした。
ついた、長女の名前は「まり」。
苗字に「横」がつくので、せめて「まえ」にしてもらえないか、と希望を出したものの、見事、却下されました。
その娘も今や結婚適齢期。
もし、嫁ぎ先のお相手の苗字が織田(小田)だったら、後半の人生、事あるごとに、
「おだまり!」と呼ばれることになってしまいます。
水田姓なら「みずたまり」。 まだ、こちらの方がいいかもしれませんが・・・
そういえば、小学校の同級生に、1月生まれということで「睦月(むつき)」という名前の女の子がいましたが、もし、彼女が近藤家に嫁いでいたら、
「こんどうむつき」
企業名・ブランド名ほどの制約はないものの
特に、女の子の名前の場合、将来、結婚して苗字が変わる時のことを考慮すべきと、つくづく思います。